【Y2K Futurism】本来のY2Kの意味?インターネット美学、Y2K Futurismとは?解説・まとめ

Y2K Futurismとは?

  • 「Y2K Futurism」とは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、テクノロジーとファッションの融合を描いた未来的なインターネット美学です。
  • ミレニアムを目前にした人々のテクノロジーへの希望や未来への期待から生まれたました。
  • メタリックな質感、光沢、流動的なデザイン、シルバーやブルーの配色、スパイキーへア、オークリー、宇宙、携帯電話やコンピューターなど最新テクノロジー、SFな世界観が特徴です。
  • 「Y2K(2000年代問題)」を元に命名されました。
Mimineko12
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テクノロジーと人間が一体化してる感じ、SF映画をそのまま着こなす!みたいな勢い、なんだか可愛いですよね。

実は「Y2K Futurism」こそが、「Y2K」の本来の意味だった?

2020年代に入ると、若者の間で2000年代リバイバルとしてY2Kファッションが流行り始めましたよね。実は、この「Y2K」の美学としての定義は、本来この“Y2K futurism”こそがオリジナルだったのです。

この美学の起源をたどれば、2016年に“Y2K aesthetic”という言葉が、オンラインコミュニティーのCARI Institute(消費者美学研究所)によって定義されたことが始まりです。

このCARI Instituteによると、“Y2K aesthetic”は1990年代初期から後期にかけての美学を指し、未来への想像からインスピレーションを受けた視覚要素が特徴だと定義されています。

A time when the future was tight leather pants, silver eyeshadow, shiny clothing, oakleys, gradients, and blobby electronics.

タイトなレザーパンツにメタリックなアイシャドウ、光沢のある服とオークリー、グラデーション。流体な電子機器が「未来」だった時代。

(CARI InstituteのY2K aestheticのページより)

こういった感じのスタイルが本来のY2Kの意味でした。

そのため、2020年代頃から流行していた「2000年代初期っぽいスタイル」が「Y2K」と呼ばれる風潮は、実は本来の定義とは少しズレているんですね。

“Y2K Futurism”は、2000年以前に描かれていた「未来予想図」であり、「ローライズ、ピンク、ギャル系」といった要素がある、現在の意味での“Y2Kファッション”は、その未来に到達したあとの「リアルな2000年代のカルチャー」に近いリバイバルなんです。

そして、このようなスタイルは、厳密にはY2Kというよりも、むしろ“McBling”の方がカテゴライズとしては適切かもしれません。

こういったスタイルは厳密にはMcblingという美学でカテゴライズされる。
Mimineko12
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ただ、現在の「Y2K」の使われ方が間違いというわけではありません。あくまで元々の意図とは少し異っていたということです!

Y2K Futurismのビジュアル

Y2K Futurismのビジュアルには、どこか近未来的で非現実的な美しさがあります。「こんな未来が来るかも?」というSF的で人工的な美しさが特徴です。

画像引用元:https://aesthetics.fandom.com/wiki/Y2K_Futurism?file=78123.png

中でも印象的なのが、メタリックやクローム素材の多用。シルバー、ホログラム、光沢のあるPVCなどが使われ、“未来っぽさ”を質感で表現していました。CGも多用されていて、現実とデジタルの境目が曖昧になり始めてきていました。

画像引用元:Björk ‎– Army Of Me (1995)
Lost in Space, Martin Gardiner, Me Company
https://www.discogs.com/master/34400-Bj%C3%B6rk-Army-Of-Me

さらに、流動的な水や泡のようなデザインも多く見られます。これは、“Blobitecture”(ブロビテクチャー)と呼ばれる、同時代の建築にも見られたスタイルです。有機的でなめらかな形状、未来的でどこか生き物のような造形が特徴です。

画像引用元:Positive II: Arcadia Compilation Vol. 3 (2004) Designer Unknown
https://www.discogs.com/release/955317-Various-Positive-II-Arcadia-Compilation-Vol-3

画像引用元:”Blob” (Binary Linear Object Building) designed by Italian architect Massimiliano Fuksas. https://nl.m.wikipedia.org/wiki/Bestand:Binnenstad,_5611_Eindhoven,_Netherlands_-_panoramio_%2823%29.jpg

また、Y2K Futurismのデザインでは、初期の折り畳み式の携帯電話が特徴的なアイコンとしてよく見られます。当時は、Blobjectというデザインが流行し、滑らかな曲線や明るい半透明のカラーが特徴でした。代表的な製品には、Appleの iMac G3任天堂のゲームボーイカラーがあります。

画像引用元:DoCoMo 350iS (2001)https://cari.institute/aesthetics/y2k-aesthetic
画像引用元:iMac G3, by Jony Ive and his team, 1998, aluminum, glass and other materialshttps://aesthetics.fandom.com/wiki/Y2K_Futurism?file=Apple-imac-g3-anniversary.jpg#Video_Games

カラーパレット

Y2K futurismをイメージしてカラーパレットを作ってみました。シルバー、メタリックブルー、ブラック、パープルなどが中心。冷たさとサイバー感のある配色が特徴です。

ファッション

Y2K Futurismのファッションは、レザーやPVC、ビニールなどの人工素材が多く使われて、体のラインを強調するボディースーツやタイトな服が特徴的です。

また、シルバーや水色のシャドウ、グロッシーなリップ、オークリーのサングラスなど、自然にはないような人工的な要素を取り入れることで、テクノロジーと人間が融合した、SFっぽさや、コンピューターの中に入ったようなサイバー感のあるスタイルがよく見られます。

画像引用元:Sash! – Trilenium (2000)Photography by Manfred Esser
https://www.discogs.com/release/1474124-Sash-Trilenium

関連するインターネット美学

Gen X Soft Club

Gen X Soft Clubは、Y2K futurismと同時期に流行っていた美学で、同じように近未来的ですが、より地に足の着いた都市生活に中心をおいた美学です。以下の記事で詳しく説明しています。

音楽

音楽の面では、主にエレクトロポップや実験的なトリップホップR&BなどのアーティストのMVの視覚的要素と結びついて、Y2K Futurismの美学が取り入れられました。また、ドラムンベースやエレクトロニカの影響も強く、テクノロジーを駆使した音作りが特徴でした。無線通信や音声のピッチ加工など、未来的な音の加工も頻繁に使われていました。

MVプレイリスト

Y2K Futurismの美学を取り入れているMVをプレイリストにしてまとめてみました。皆、よくわからない電子レンジの中みたいな場所で踊り歌ってますね…

メディア

映画

  • 『The Matrix』(1999)
  • 『A.I.』(2001)
  • 『Minority Report』(2002)
  • 『Tron: Legacy』(元は1982、続編は2010)

ゲーム

  • 『Rez』(2001)
  • 『Wipeout』シリーズ
  • 『Perfect Dark』
  • 『Space Channel 5 』(1999)
画像引用元:Space Channel 5: Prima’s Official Strategy Guide(2000)https://www.amazon.co.jp/Space-Channel-Primas-Official-Strategy/dp/0761530010

アーティスト

Y2K futurismの世界観を作品にしている現代のアーティストを紹介します。

ANDYPANTS

@ANDYPANTSは、少し昔のCGを思わせるかわいいキャラクターを生み出すデザイナーさんです。

brawlers world

@brawlersworldは、90年代〜2000年代のゲーム風ビジュアルが印象的なアーティスト。ノスタルジーにとどまらず、独自のユーモアと世界観があって素敵です。

JINOOYA MAKES

XGのLEFT RIGHT(2023)は現代のMVですが、Y2K futurismの要素が見られます。監督したのはJINOOYA MAKES@jinooyamakes)です。彼の他の作品も、どれも素敵な世界観ですのでぜひチェックしてみてください。

「Y2K Futurism」の再評価と「Y3K」への影響

近年、Y2K Futurismと似たスタイルが、「Y3K」と称され「Y2Kの次に流行るファッションスタイル」として特集が組まれていることが多いと感じます。

「Y3K」とはK-popアイドルのAespaなどが代表するような、3000年代を意識した未来的なファッションスタイルを指します。具体的には、ホログラム素材やメタリックな質感のアイテムが特徴であったり、AIやメタバースといった、これからの未来のテクノロジーの要素や世界観が色濃く反映されています。

Aespaの”Whiplash”(2024)ティザー写真

「Y3K」と「Y2K」の関係

ここで注目したいのは、Y3Kが「Y2K futurism」から明らかにインスピレーションを受けている点です。同じくテクノロジーを中心とした未来像を描いていますし、メタリックな素材や流動的で光沢のあるデザインは共通しています。

RISA”Rockstar”(2025)のティザー写真

そのため、Y2KとY3Kがまったく別物として捉えられることには少し違和感を覚えます。もちろん、Y3KにはAIやメタバースなど、現代的な要素が多く取り入れられいることもあり、Y2K futurismとは異なるスタイルや新しい解釈が加わっているのは確かです。

おそらく、一般的にイメージするY2Kは近未来的なY2K Futurismではなく、ローライズ×ピンク×ミニT的なY2Kであるために、Y2KとY3Kを全く異なるものと考える人が多いとは思うのですが、「Y2Kの次に流行る!」という言い方には少し疑問を抱いてしまうのが正直なところです。

出典

Aesthetics Wiki – Y2K Futurism

CARI Institute – Y2K Aesthetic

The History of Y2K - Exploring 2021’s Hottest Trend
As times change, we tend to look back on the past with either longing or ridicule. Popular culture regularly finds itsel...

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